ここ1年、「マリオ」というキャラクターがゲームの外側でも活躍するようになってきました。
2014年度からの任天堂の方針、そしてキャラクターIP活用法の変化、
外部との豪華コラボレーションなどを
わかりやすくまとめ、分析していこうと思います。
◆社会的な影響力が対等なもの同士だからこそ実現した、
驚きのコラボレーション
2014年5月、メルセデス・ベンツのコンパクトSUV「新型GLAクラス」と
「スーパーマリオブラザーズ」のコラボは世間の話題をさらいました。
マリオカート8でも、メルセデス・ベンツの実在の車種3種
(GLA・W25 シルバーアロー・300 SL ロードスター)に乗れるようになる
無料アップデートが行われました。
ベンツとのコラボは、ゲーマーにとっても利益があったのです。
日本ではゲームの社会的な地位(影響力)を低く考えていますから、
ベンツがマリオの方へすり寄ってくるなんて信じられない、
そんな雰囲気があったと思います。
ですが、メルセデス・ベンツ日本 CEOの上野金太郎氏は
「マリオはどんなところでも軽快に走り,年代や性別を問わず多くの方に愛されています。
まさにGLAを表現するのにピッタリなキャラクターだと考えています」とコメントしています。
※4Gamer参照
メルセデス・ベンツ側はマリオを対等な存在として評価していることがうかがえますよね。
2015年1月8日、スマフォゲームの王者「PUZZLE & DRAGONS」と
「スーパーマリオブラザーズ」のコラボが発表されました。
経済界では利益を奪い合うライバルのように報道されがちな
ガンホーと任天堂が本格的にタッグをくんで制作に取り組んでいることが明かされています。
キャラクター、世界観、効果音など「マリオらしさ」をしっかり表現するため
パズドラを作り直されているそうです。
子供が安心して遊べるよう、追加の課金要素を排除されている点は、
任天堂の意向が反映されているなあと思います。
日本国外でもパズドラの知名度をあげるために
海外では任天堂が販売を担当することになっています。
「ゲームの遊び方を作り、孫の世代、ひ孫の世代と、歴史的に継続させていくことが大事だ」と
考えているガンホーは、パズドラというIP強化のためにマリオの力を借りることにしたのです。
経済的には圧倒的な勝者であるように見えるパズドラ。
「キャラクター力」や「子供に遊ばせても大丈夫という安心感」などいったポイントでは、
マリオに勝つことは出来ていないのでしょう。
◆「マリオ」というキャラクターの価値が損なわれていない理由
2015年は「スーパーマリオ」30周年という記念すべき年です。
四半世紀以上の年月がたっているのに、
「マリオ」というキャラクターの価値は摩耗していません。
それどころか、最近になって価値が高まっているように感じます。
どうして「マリオ」というキャラクターの価値はすり減っていないのでしょうか?
もったいぶって書きましたが、答えは簡単です。
今まで任天堂が大事に守ってきたからに他なりません。
詳しくは、2010年6月29日(火) 第70期 定時株主総会での質疑応答に
目を通していただければと思います。
ポケモンのキャラクタービジネスの展開にくらべて、
マリオなどのキャラクタービジネスが弱い
(本腰を入れていない)理由について質問されたときのやりとりです。
まずはキャラクタービジネスの運営がいかに難しいか、
という話が岩田社長の口から語られています。
「キャラクタービジネスは、短期的に繁栄させることは比較的容易なんですが、
長期的に繁栄しているキャラクタービジネスは、実は数えるほどしかなく、非常に難しいんです。
それはどちらかというとキャラクタービジネスの構造というのが、
キャラクターの価値を消費し、消費して価値がなくなったら
次の別のキャラクターを代わりに据えればよいという形で
運営されているケースがけっこう多いからなんです。」
ポケモンの場合はキャラクターの価値が棄損することをおそれ、
キャラクターのライセンスを一元管理する会社が作られました。
マリオには、キャラクターのライセンスを管理し
長期的なビジョンのもと「マリオ」の価値を守る、専門組織は作られていません。
だから、長い間「マリオ」というキャラクターを慎重にとりあつかってきたのです。
その結果、メルセデス・ベンツやパズドラと対等にコラボレーションできる
社会的な影響力を維持することに成功したのだと思います。
2014年1月30日(木) 経営方針説明会 / 第3四半期決算説明会にて、
任天堂が持っている豊富なキャラクターIPを積極的に活用していくという発表がありました。
3DSやWii Uなどのゲーム機のプロモーション画像に
オリジナルのマリオ画像が使用されるようになりました。
人気のゲーム情報番組「ニャニャニャ! ネコマリオタイム」には、
ネコマリオ・ネコピーチというお茶目なナビゲーションキャラが登場しています。
「マリオ」ブランドが、ゲーム機やゲームソフトの売り方にまで
活用されるようになってきたのです。
ここ1年、「マリオ」は任天堂を助けるために
八面六臂の働きをしてくれていますね。
でも、不思議なことに「マリオ」の価値が損なわれた、と感じることはありませんでした。
「マリオ」というキャラクターの価値を守るため、
裏で任天堂が努力し続けているのだと思います。
「マリオというのは、その時その時の最新の一番面白くて魅力的なビデオゲームにという岩田社長の言葉を引用して、この記事を終わろうと思います。
マリオが出てくるというくらいの位置づけであることがマリオの価値を高く保つことでしょう」
最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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