スーパーファミコン柄のプリペイドカードが、セブンイレブン限定のものと
ローソン限定のものの2種類が発売されるとの知らせをうけて。
近所のローソンに出むき、ミンティアひとつと
プリペイドカードを1枚買ってきました。
『スーパーマリオワールド』カセット柄のカードを
厚紙からペリペリとはがすと、しれっとマントマリオの姿が。
しれっと。
なにか仕掛けているときの任天堂の有様を、
表現すると一番しっくりくることば。
“しれっと”仕掛けている。
開封した瞬間に、お客さんに「おっ」と言わせたいのでしょう。
驚きをもたらすことがが一番のプレゼントだと
身に染みてわかっている、彼らならではのもてなしです。
個人的にですが、「もうちょっと値段が高くてもいいから、もう一ひねりした(気の利いた)サービス受けさせて欲しいなあ」と思う場面が増えています。
「もう少し高くていいから、プレミア感のある商品に仕上げて欲しかった。惜しい」とか、
「値段が安すぎるから並ばなくちゃいけない。値上げして、スムーズにサービスを受けさせて欲しい」とか、思ったりするわけです。
どうして任天堂みたいにやれないんだろう? って考える機会が増えたんですね。
わたしは任天堂を再評価しているのです。
なぜなら値段とサービスの内容が釣り合っているから。
値段以上のよろこびを感じさせてくれることも多かったからです。
任天堂の外側の現象を観察しながら、
任天堂らしさについて考える羽目になったわけです。
それで先日、ひとつ仮説を思いついたんですよ。
それは「自分がしてもらいたいことを、商品やサービスに反映させているか。反映させてないから、不満がでるものを平然とリリースしてしまうんじゃないか」という、当たり前の考えでした。
たとえば。
スイーツの素材や味にこだわっているのにもかかわらず、値段が大変リーズナブルなカフェ。
実際お店に入ってみると、アイス1つを注文しただけなのに15分は待たされるし
テーブルはガタガタして、座席は硬すぎる。食べづらい。
行きつけのお店にしたいくらい、メニューの内容やスタッフさんの笑顔はステキだったのに
環境が整っていなかったんですね。
(ここで働いているスタッフさんは、このテーブルとイスに座って、
スイーツを食べたりコーヒーを飲んだりしてないんじゃないか?
リラックスした姿勢で食べられないから、せっかくの味が堪能できない……)
とまあ、がっくり来たわけです。
お金を払ったのにフラストレーションがたまってしまったとき、いつも任天堂のことを思いだします。
彼らはいつでも本気だよなあ、って妙に感動を覚えるわけです。
本気だから、お客さんを意識した商品作りをしているし、
サプライズを仕込むし、叱咤激励されながらサービスを改善していくのです。
ときどき「そこまで言うか?」ってくらい厳しい批評をくだすファンの方がいて、ただの消費者のわたしでさえ驚くことがあります。
でも任天堂にとって、それは幸せなことかも知れません。
不満をもった消費者って、黙って立ち去るのが常ですから。
わたしだって、カフェの対応に不満があったものの、何も言いませんでした。
お金を払って嫌な気持ちになるくらいなら、つぎは待遇のいい店、目新しいメニューのある店に行ってしまうと思うのですよね。
不急不要のエンタメ業界。
よそと同じことをやっては駄目。
説明がなくても理解できるように、老若男女をもてなさなくては駄目。
エンタメ業界の不文律は、案外よその業界でも当てはまります。
気持ちよくお金払わせてよ! と思ったとき、
任天堂のことが頭によぎったりするよ。というお話でした。
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横井軍平ゲーム館: 「世界の任天堂」を築いた発想力 (ちくま文庫)