2Dマリオのコースを自由に制作できるゲーム
「MARIO MAKER」が発表されました。
2015年発売予定、
プラットフォームはWii Uです。
E3での「MARIO MAKER」のプレイ映像や感想を読んでいるうちに
色々と発見があったので文章にしてみました。
◆「MARIO MAKER」制作の意図とは
Wii Uゲームパッドの画面(タッチパネル)を利用し、
2Dマリオのコースを直感的に作ることができるのです。
1992年に発売されたイラスト・アニメ制作ソフト「マリオペイント」と
UIや画面を邪魔するハエをたたき落とす要素が似ています。
が、「マリオペイント」のWii U版とは捉えていません。
本格的にイラストを描くためのソフトとして
Wii U版の「絵心教室(Art Academy)」が開発されていますしね。
任天堂の宮本茂さんは、開発スタートの経緯について
以下のように語っています。
昔は、『スーパーマリオ』のコースを作るとき、
紙に描いて設計していたんですね。
『スーパーマリオブラザーズ3』を作った後は、
作業の効率化のために開発ツールを使うようになったのですが、
もしかしてWii Uでそのツールが動くんじゃない?
というのが、そもそものスタートです。
※子どもたちにもE3を。任天堂の新たな取り組み“KIDS CORNER”に宮本茂氏と手塚卓志氏、ポケモンの石原恒和氏が登場【E3 2014】より
かつて使用していた、
コースデザイン用の開発キットを移植することを考えた宮本さん。
では、なぜそのような商品を発売しようと思い至ったのか。
その背景が気になってくるわけですね。
背景のひとつにWii U用ソフト「ファミコンリミックス」シリーズの
パッケージ化の成功にあると思います。
昔懐かしいファミコンゲームの良いところだけを集めたミニゲーム集なのですが、
古いゲーマーだけではなく、幅広い世代に支持され
じわじわセールスを伸ばしています。
「スーパーマリオ3Dランド/3Dワールド」の林田さんが企画立案したシリーズです。
林田さんが「ファミコンリミックス」のサンプルゲームを見せたときに
宮本さんは「そらまあ、元のゲームがええからな」だという反応をしました。
※ニンドリ2014年4月号のインタビューより
ですが、商品化しリリースした際
思いのほか熱量があったため驚いたのではないでしょうか。
古いゲームには今なお使い古されていない
商品価値が残っていることを発見したわけですから。
「MARIO MAKER」は3ヶ月あまりで今の形まで持ってくることができたそうなので、
「ファミコンリミックス」の流れを横目で見ていたことは間違いなさそうです。
「MARIO MAKER」はボタン1つで
ドット絵のファミコンマリオの絵柄から
Wii U版「NewスーパーマリオブラザーズU」の絵柄へと変更することが可能です。
そして、「NewマリオU」の画面でつくられた手作りコースは
Wii Uで発売された製品版のものとくらべても見劣りしません。
つまり、初代の2Dマリオと最新の2Dマリオの本質は
まったく変化していないということなんです。
素人がつくったものでさえ
表面上は製品版と同じ面白さがあるように見えるんですよね。
◆3DS・Wii Uの2Dマリオが突き当たった壁
DSとWiiで大ヒットした「New スーパーマリオブラザーズ」シリーズ。
長らく日の目を見なかった2Dマリオが、
3000万本(DS版)・2700万本(Wii版)規模の大ヒットを飛ばしました。
2Dアクションゲームの人気は高まっており、
ダウンロードゲーム市場やインディーズゲーム市場で
多くの良作が生まれつづけています。
時代に関係なく受け入れられるポテンシャルを有していた2Dマリオ。
3DSとWii Uでも問題なく受け入れられるはずでした。
ですがゲームの内容や面白さに反して、
ゲーム業界や消費者の反応が思ったよりも芳しくなかったと感じます。
マリオファンの間で色んな議論されていますね。
「Newマリオ」シリーズのアートワークや音楽が固定されていて
新鮮みがなくなってしまったという意見が印象に残っています。
「マリオギャラクシー」のような壮大な宇宙とオーケストラで彩られた世界観や
「レイマン レジェンド」のようなイラストがそのまま動くアニメ映画みたいな絵柄なら
もっとウケが良かったのではないか、と。
ビジュアルや音楽を工夫すれば、
もっと評価が高くひろく売れる作品になったのでしょうか。
ちょっとだけ違和感がのこりました。
「MARIO MAKER」のプレイ映像をみたときに
はたと新しい可能性が見えてきたのです。
むりやり難しいステージを作ってみてプレイしてみたら全然クリア出来ない、
ジャンプ台やブロックの位置を再配置してみて……とトライ&エラーをくり返していますね。
そこにはゲームの中からではなく、プレイヤーの中から新たな目標がうまれてくる楽しさ、
クリエイティブする喜びが溢れているのです。
ようやく苦労してステージを完成させることができた暁には、
任天堂スタッフさんが作ったコースの完成度にあらためて感嘆することもあるでしょう。
また、手作りのコースをオンライン上で共有できるシステムがあれば、
思いも寄らない発見があるはずです。
「MARIO MAKER」で2Dマリオの常識を一度プレイヤーの手で壊してもらい、
任天堂があらたな形で再構築することになるのか。
一連の流れを期待しながら見守っていきたいですね。
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